サクラ咲ク
「・・・あの続きは、間違っても私なんかが聞いてはいけないという判断で・・・」
そう言って、唇を噛み締める。
最初から、盗み聞きなんてしなければよかった。
信頼を、失うくらいならば。
「よくわかってんじゃねぇか。あれはお前に聞かせてやれるギリギリの線だ。決して他言するな。」
「はい・・・」
そう答えた私に、土方さんはもう目を向けなかった。
気まずい沈黙が残暑の空に流れる。
近藤さんが居辛そうに咳ばらいを一つした。
「あー・・・悠希くん。ここには慣れたかね?」
「はい。皆さん、よくして下さるので・・・」
そう言った私に近藤さんは満足げに笑った。
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