サクラ咲ク


楽しそうに言い合う二人を横目に見て、思わず笑ってしまう。



こんな人たちが、こんな風に笑って、息をして、生きていたなんて、知らなかった。


現代で生きていれば、きっと、一生気づくことなんてなかった。





例えば、教科書や参考書にある全ての名前の全てが、確かに存在していたことに。



確かに、息をしていたことに。








こうやって、触れられる距離にいることは、やっぱり、


奇跡で、

偶然で、

だけど必然だったのかしら。








だとしたら、やっぱり幸せだと思う。





逢えるはずのない人たちに出会って、大切だと思えたから。





幸せだと、感じる瞬間を見つけられるから。








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