サクラ咲ク



刀を持って戦う意味を、

その銀を朱に染める意味を、



忠義や、武士道も、



やっぱり私には理解できない。



だけど、分かりたいと思う。



命の奪い合いの先を。

裏切りと信頼の先を。


土方さんと近藤さんの誓いの、行く末を。




いつまでも、笑い声の響くこの場所を。




できるならば、いつまでも傍で、見ていたいと。


そう思う。







いつの間にか、大事だと思っていた。



現代に未練がない訳じゃない。今だって、時々思い出す。

その度に、どうしようもなく哀しくなるけれど。




だけど、私は、


この時代で生きていきたい。



この場所で。






小さく吹いた風が、ただ木の葉を揺らし、夏の終わりが来ることを告げた。





.
< 194 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop