サクラ咲ク


結局、一日仕事もないから、私は自室の掃除や溜まっていた洗濯を洗ったりして過ごした。



すっかり夕焼け空になった今、私は再び縁側に座っていた。



「韓紅花。」



後ろからそんな声が聞こえた。

こんなこと朝もあったな、と思う。




振り向けば、そこには藤堂さんと山南さんが立っていた。




「・・・韓紅花?それは何ですか・・・?」



尋ねた私に、山南さんが優しく笑った。




「夕日の色の名だよ。」




この夕日の色の名?

温かみを帯びた、純粋な紅。



「紅花のみで染めた紅色の美しいものを、舶来の意味を込めて呼んだもので、中紅よりも濃く鮮やかな色をいうんだ。」



「中紅?」



「普通の紅色のことだよ。」





純度の高い、紅色。





「唐紅は黄色の混じらない純粋な紅色なんだぜ!」




藤堂さんの補足に、成る程、と思う。



それが、夕日の色の名。



他色に混ざらず、ただその色だけで。



美しい色。



鮮血の紅色より、もっと高貴な色?






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