サクラ咲ク
「・・・なぁ、悠希。」
少し苦味を堪えた声。
藤堂さんはゆっくりと私の隣に座った。
その瞳が、不安げに、少し揺れた。
その唐突な表情に、思わず息を止める。
「・・・もし、自分の信じたい奴が、沢山の人に疑われていたら、どうする?」
「平助!!!!!!」
山南さんが声を荒げた。
いつもは“藤堂さん”と呼ぶのに。
平助、と。
「悠希くん、すまないね。平助、会議に遅れてしまうよ。行こう。」
藤堂さんの腕を取って、無理矢理立ち上がらせる。
穏やかな山南さんにしては、粗雑で、乱雑で、焦ったようなやり方。
「私ならば!!!!!」
離れゆく背中を見て思わず叫ぶ。
藤堂さんが首だけこちらに向けた。
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