サクラ咲ク



「私なら、自分の信じたい人を信じます。」




咄嗟に出た言葉。

でも虚嘘ではなく、本心。




何が正しくて、何が間違ってるかなんて、

誰にも解らないんだから。




「・・・御自分の、行きたい道へ。」




きっとその先には、正しい世界があると、信じて。







「・・・有難う。」







そう言った藤堂さんの顔は、どこか儚くて、何故か泣きたくなった。






もう誰もいない廊下に、ただ一人で立ち尽くす。







韓紅花は、もう姿を消し、

星一つない暗い夜が、静かに顔を見せていた。








.
< 203 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop