サクラ咲ク



その日の夕飯に、幹部の人たちの姿はなかった。



山南さんが会議があると言っていたから、多分それのせいだろう。




「あ、茶切れちまったなぁ・・・悠希!わりぃが持ってきてくれねぇか?」




佐伯さんが私にそう言って、やかんを手渡してきた。




食べ終わって、やることもなかったし、調度よかった。




「すぐ持って参りますね。」



「ははっ!ゆっくりな!悠希はおっちょこちょいだから、転びそうだし!」



「・・・子供扱いしないでくださいよ。」




少し佐伯さんを横目で見て、部屋を出る。




部屋の中からは相変わらず楽しそうな笑い声が響いていた。





それにしても・・・


雲一つない空なんて、珍しい。


電気のないこの時代にとって、月明かりは重要な光資源。





月明かりのない今、真っ暗な廊下は少し不気味。









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