サクラ咲ク
小さく吹いた風に、影に堕ちた草たちが揺れた。
「だけど、もう大丈夫だから。」
そう言って、その背中に笑いかける。
「ここからは、一人で大丈夫だから・・・だから、ありがとう。」
いつまでも、貴方の温かさに守って貰うなんて、そんな生易しい考えじゃ、だめ。
貴方にだけは、
最後まで味方でいてくれた、貴方にだけは、迷惑をかけたくない。
絶対に。
「手を、離して。」
そう言った私に、麗くんの手が小さく震えた。
その振動が、何故か切なくて、苦しい。
「・・・一人で、大丈夫なんて言うなら・・・」
麗くんは小さく呟いた。
さっき、土方さんに啖呵を切ったのと同じ口だとは思えないぐらい、弱々しい声。
夜の闇に、溶けて、熔けて、解けて、やがて消えた。
訪れたのは、真っ暗な沈黙。
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