サクラ咲ク
「悠希・・・・」
遠慮がちな麗くんの声がして、ハッとする。
「・・・中、入ろっか。」
取り繕うようににっこり笑ってみせる私に、
麗くんは何か言いたげな顔をしながらお店に入っていった。
その背中に、ごめんね、と呟く。
いつもいつも助けてくれる。
優しすぎる人。
なのに私は、貴方を傷つけてしまう。
私は人間として、多分欠陥してるんだろう。
傍にいて、傷つけてしまうぐらいなら、一緒にいないほうがいい。
一緒に、いないほうが…
「悠希?何してんだよ。早く入りなよ。」
だけど貴方はいつも、後ろを振り向いて、私の手を握ってくれるから。
「・・・うん。」
だから私はいつだって、貴方の優しさに甘えてしまうの。
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