サクラ咲ク
殺して、とねだって、私はゆっくり微笑み、顔をあげた。
顔をあげると、ポツリと雨が降ってきた。
おかしいな…
こんなに晴れた青い空なのに。
お天気雨かしら?
「…ねぇ、近藤さん?」
「………ッ……」
「どおして、あなたがないてるの?」
しょっぱい雨が、ぽたぽたと私の頬に伝う。
近藤さんの涙が、私の頬に。
「……すまない…。私は悠希くんの願いを聞いてやれんよ…」
泣きながら、彼は言った。
「だがな、帰る場所がないなら、」
泣きながら、でも、優しく笑って彼は言った。
「私と一緒に来ないかい?」
空が泣いた日。
太陽が泣いた日。
拒絶された世界で、
貴方は私に、
手を差し延べた。
おおきくて あたたかい
その手を―――…………
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