サクラ咲ク
「ただ今戻りました。」
遂に真っ暗になった頃、ようやく店に戻った。
お菊さんは咎めることなく迎えてくれた。
「麗はまだだけど、晩御飯にしましょうか。」
麗くんは、今日も遊郭に商売で行っているらしい。
朝早くに、機嫌が悪そうに店を出て行った。
「……麗も、幸せになってくれるかしら?」
突然ポツリと呟いたお菊さんに、私は首を傾げる。
「あの子も、いつか、誰かと幸せになってくれるかしら?」
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