サクラ咲ク
お菊さんの表情と、左介さんの幸せそうな顔が重なる。
親の表情。
お母さんも、私にそんな思いを抱いてくれたかな。
どんな人と幸せになるの?
どんな人生を歩むの?
そうやって、私の道を案じてくれたのかな。
「…麗くんは、きっと…」
幸せに、なれると思います。
そう伝えようとした時だった。
「お菊さん!!!!」
玄関から慌てた声がした。
サッと立ち上がって、玄関に向かったお菊さんの後を慌てて追う。
「太一くん!どうしたの?」
そこにはまだ幼い男の子が震えて座り込んでいた。
その背中を、お菊さんは優しくさする。
「長州の…っ奴らが、やけに気が立ってて…俺、ぶつかっちまったんだ!!!そしたら、追いかけて…」
思い出し、再び震える少年を、お菊さんは優しく撫でた。
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