サクラ咲ク
「悠希ちゃん!!!!!!!!」
背中にお菊さんの叫ぶ声が響く。
駆け出した私は、裸足のままで夜の京を走る。
私の信じる道なんて、最初から決まってるんだ。
本当は、ずっとわかっていた。
どこにいたいか、なんて。
誰といたいか、なんて。
本当は、最初から…
「悠希。」
強く、肩を掴まれる。
聞き慣れた声が、私の足を止まらせた。
そっと振り向けば、やっぱり彼がいた。
夜の中でだって、光を身に纏うように、表情が分かる。
「………麗、くん…」
呟いた声は、震えていた。
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