サクラ咲ク
三、擬宝珠 [沈静]
「…近藤さん、と?」
それは…どういう意味?
「言葉通りだよ、私と一緒に生きてみないか?」
一緒に、生きる?
「それは…結婚するってこと?」
真面目に聞いたのに、近藤さんは少しキョトンとして、そして爆笑した。
「ははははっ!!違う違う!!私の家に、来ないか?」
「近藤さんの、家?」
「ああ、みんないい奴だよ。」
みんな…?
ああ、そっか。
家族でもいるのかしら。
確かに近藤さんはいいお父さんって感じがするわ。
「…私……、」
生きる?
ここで?
だって、ここは、
私の生きる世界じゃない。
私だけ、異質。
「…私……、」
でもね、一人は怖い。
死んでも、また違う時代に行って、そこでも一人で…
そんな無限ループな気がして仕方ないの。
「…私が、いてもいいの…?」
貴方を、利用してもいい?
私が一人にならないために、利用してもいい?
「歓迎するよ、悠希。」
汚い私を知らないで、優しく笑う貴方に、心が痛む。
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