サクラ咲ク
もう、終わりにしよう。
不幸ばかり探して、
自分ばかりと嘆くのは。
今度は、私が誰かを守る。
守って、みせる。
「お嬢ちゃん!!!そこは危ないから!」
小さな人だかりの中に入れば、そんな言葉が私の背中に届く。
ほら。見ず知らずの私に、こうやって心配してくれる人がいる。
なんて、温かい。
「…大丈夫、です。」
制止する声に、小さく微笑む。
そのまま、池田屋に飛び込む。
聞こえる叫び声や、刀の音。
それから、血の匂い。
麗くんに渡された刀の鞘を、強く握る。
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