サクラ咲ク
圧倒的な強さで敵を斬る、原田さんと近藤さん。
その後ろには、倒れ込んでいる…
「藤堂さん!!!!!!」
真っ赤に染まった彼の名を呼び、駆け寄る。
「誰だ!?」
誰かの叫び声がするけど、構わずに走る。
藤堂さんの元に座り込んだ私に、藤堂さんは目を大きくした。
「……ゆ、…き?」
息絶え絶えに呼ばれた名前に、私は泣きながら頷く。
泣きたくなんかないのに、
赤に染まる彼の額に、涙ばかり落ちてしまう。
「…綺麗、だ……ゆう、き。」
女神様みたいだ、と笑う彼に、私はただ首を振る。
「…っ……しっかりして下さい、止血しますから…」
額にある傷口に、持っていた布を当てる。
強く抑えて、赤を封じ込める。
応急処置にしかならないけど、頭に布を巻いて、近くにいた隊士の人を呼ぶ。
「藤堂さんはもう戦えないわ。早く安全な所へ。頭を高くして横にならせて、すぐに医者を呼んで。分かった?」
「は…はい!!!!!」
隊士の人たちが藤堂さんを支えて立ち上がらせる。
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