サクラ咲ク
「ま…って…、悠希…これ、を…」
藤堂さんはそう言って、着ていた浅葱色の羽織りを脱いで私に渡した。
「血まみれ、で…ごめん、な」
小さく笑う彼に、私は涙を拭う。
渡された羽織りを着て強く頷く。
「…似合う、よ。」
大丈夫。
私がみんなを守ってみせるから。
だから、大丈夫。
運ばれていく藤堂さんの姿を、見送り、ゆっくりと刀を抜く。
「局長。ここは任せます。私は、他の援護に行きます。」
原田さんと近藤さんがいるなら、私は必要ない。
.