サクラ咲ク
「何それ…」
私、お母さんに嫌われるようなことしたかな。
お母さんは優しくて、温かくて、いつも笑顔で…
自慢の母だった。
小さい頃から父親はいなかったけど、お母さんが沢山愛情をくれたから、寂しいことはあっても、不幸だとは思わなかった。
なのに。
「何、それ…」
仲のいい友達が何人出来ても、いつだってお母さんが一番の理解者だった。
『お母さんを嫌わないでね。』
そう書かれた文字が浮かんだ。
嫌わないで、だなんて。
「嫌いになったのは、お母さんのほうじゃない…」
小さく呟いた声は、殺風景な部屋に哀しく響いた。
世界は果てしなく白に沈んだ。
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