サクラ咲ク
「おう!悠希!やっと来たか!」
近藤さんが私を見つけて笑いかけながら、自分の隣に座るように指示した。
私は近藤さんの隣に座りながらようやく少し安心した。
「始めるか。」
土方さんが立ち上がると、客間は一気に静かになった。
凄い、カリスマ性。
「…知ってる者も多いと思うが、今日から入隊する酒井悠希だ。酒井、挨拶しろ。」
土方さんに言われて、私は慌てて立ち上がる。
「酒井、悠希です。未熟者ではございますが何卒よろしくお願い致します。」
ぺこりと頭を下げる。
「酒井は、一番隊に配属、及び、監察の仕事もしてもらう。以上だ。」
一番隊は、沖田さんが隊長していると言っていたところだ。
だけど監察って何だろう?
再び賑やかになった客間で悶々と考えていると、目の前に三人の男の人が近づいてきた。
「よお!新人!」
大柄な人が大きく笑って、私に手を差し出した。
握手、かしら。
そっと握ってみると、その人は楽しそうに笑った。
大きな手だなぁ…
「俺は十番隊隊長の原田左之助!槍使いだ!まぁ宜しくな!」
「あ、俺も!俺は永倉新八!二番隊隊長な!」
「俺は藤堂平助!八番隊隊長!この中じゃ一番歳近そうだし、なんでも相談してよ。」
藤堂さんが優しく笑って私の頭を撫でた。
「気をつけろよぉ~?平助、可愛い子には見境ないからよ~」
「男だからって安心してたら食われちまうぞ~」
永倉さんと原田さんがニヤニヤ笑いながらそう言った。
「ちげぇよ!悠希!まじで違うから!あの二人、俺をからかうのが趣味になりつつあるんだよ。」
はぁ…と深いため息をついた藤堂さんが、子犬に見えた。
うん。
からかいたくなる気持ちも分かるかも。
そう思ってクスクスと笑ってしまった。
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