サクラ咲ク



***





夜半の月が蜂蜜色の光を差し延ばし、辺りを淡く照らす。





「…まだ詳しくは調べられていませんが、今日粗調べした限りでは、全くといって良いほど何も分かりません。」




「全く…?」




「はい。太刀筋も見ていましたが、流派も分からず…」



「自己流だそうですよ。本人に聞きました。」



「自己流…?」







夜中の副長室には、沖田や原田たち隊長格の人間と監察方の山崎、そして副長である土方が集まっていた。


そこに近藤の姿は、ない。



土方が近藤抜きで集めた密会だった。




「けどよぉ…見た限り怪しい感じはしなかったけど…」


藤堂が不満そうに口を尖らせた。



「ハッ…演技の可能性があんだろうが。攘夷浪士の可能性がある。少しでも妙な動きを見せたら、斬れ。いいな?」



土方の言葉に各々それぞれの表情をした。





.



< 44 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop