サクラ咲ク
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夜半の月が蜂蜜色の光を差し延ばし、辺りを淡く照らす。
「…まだ詳しくは調べられていませんが、今日粗調べした限りでは、全くといって良いほど何も分かりません。」
「全く…?」
「はい。太刀筋も見ていましたが、流派も分からず…」
「自己流だそうですよ。本人に聞きました。」
「自己流…?」
夜中の副長室には、沖田や原田たち隊長格の人間と監察方の山崎、そして副長である土方が集まっていた。
そこに近藤の姿は、ない。
土方が近藤抜きで集めた密会だった。
「けどよぉ…見た限り怪しい感じはしなかったけど…」
藤堂が不満そうに口を尖らせた。
「ハッ…演技の可能性があんだろうが。攘夷浪士の可能性がある。少しでも妙な動きを見せたら、斬れ。いいな?」
土方の言葉に各々それぞれの表情をした。
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