サクラ咲ク
「それと、この事は絶対に近藤さんには気付かれるなよ。なんでか知らねぇが、近藤さんはやたらとあいつが気に入ってるらしいからな…」
「近藤さん、自分の子供みたいに可愛がってましたもんねぇ…」
今日の宴会での近藤を思い出して沖田はクスクスと笑った。
「本当に…あの人はお人よし過ぎていけねぇな…とにかく、絶対に目を離すな。山崎は常に監視してること。隊長格も、なるべく情報を探れ。いいな?………では、解散。」
土方の言葉で、一同は部屋を出て行った。
……沖田を除いて。
「…なんか用か?」
「別に何もありませんけどぉ~」
「じゃあ早く寝やがれ。明日の早朝の巡察は一番隊だろ?」
「あ、心配してくれてるんですかぁ?土方さんったら優しいなぁ~!」
ヘラヘラと笑う沖田を見て、土方は何も言わず、ただ溜息をついた。
「…悠希さん、本当に何者なんでしょうねぇ…」
「ハッ……すぐに尾っぽ掴んで捕まえてやらぁ…」
「土方さんの中では悠希さんは攘夷浪士決定なんですね…」
沖田は少し笑って、立ち上がった。
「総司、」
部屋を出ていこうとする沖田を土方は呼び止めた。
「わかってますよ…私は、近藤さんの邪魔になるものなら何だって斬りますから。」
土方はにっこり笑ったその冷たい瞳を、ただ見つめた。
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