サクラ咲ク
五、辛夷 [友愛]
目を覚ますと、そこはいつもと違う天井が広がっていた。
ゆっくりと頭を動かすと小さな和室。
ぼんやりとした頭で、漸く昨日のことを思い出した。
「本当だったんだ…」
一瞬でも夢だと思った自分を自嘲する。
失望に似た気持ちのまま、横になっていると、襖の向こうに気配を感じた。
「悠希さん?起きてますか?」
これは…沖田さんの声だ。
「はい、起きてます。」
少し掠れた声でそう返事をすると襖が開いた。
「おはようございます。今日は一番隊が早朝巡察なので着替えて門に集まって下さい。」
「巡察…?」
「あ、隊務の内容を話してませんでしたね。巡察は市中を見回って、攘夷浪士を取り締まるんです。」
なるほど。
現代の“巡察”と意味はあまり変わらないんだ。
「…じゃあ、攘夷浪士って、なんですか?」
この質問に、沖田さんは少し驚いた顔をした。
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