サクラ咲ク
「悠希さん…攘夷浪士をご存知ないんですか?」
「はい…あ、でも…聞いたことはある…かな…?あはは…」
引き攣る頬で笑う。
聞いたことすらないけどっ!!でもなんか知ってるのが常識みたいだし!!!
「攘夷浪士というのは反幕府派のことです。その急先鋒は長州の者ですが、とにかく私たちは攘夷浪士の取り締まりが主な仕事なんです。」
反幕派。
つまり江戸幕府を滅ぼす思想を持つもの。
詳しくは知らないけど、最後はそういう人たちが勝って、江戸幕府を終わらせる。
あの有名な坂本竜馬も、攘夷浪士ってことになるのかしら?
「あれ?悠希さん、刀を持ってないんですか?」
「刀?はい、持ってません。やっぱり必要ですよね…」
「武士なら普通に持ってるものですがねぇ…」
やっぱり、そうだよね…
買わなきゃいけないんだろうけど、私は一銭もないし…
「私のお古でよければ差し上げますよ?」
「えっ!?いいんですか!?」
沖田さんの進言に思わず顔をあげる。
沖田さんはにっこり笑って立ち上がった。
「どうせ使ってませんし、差し上げますよ。じゃあ、門で渡しますね。」
「ありがとうございます!!」
頭を下げた私に沖田さんはふわりと笑って部屋を出て行った。
.