サクラ咲ク
梅が一度部屋を出て悠希を一人にしたのは、部屋の外で悠希を見張っていた山崎の気配に気付き、追い払う為だった。
「…あの子は優しすぎるわ…」
最後に見せた、悠希の悲しげな笑顔が離れない。
その笑顔を思い出すと、どうしようもなく胸が痛くなった。
「…嫌われてしまったかしら…だけどあの子はこんな危ない場所にいるべきじゃない……分かってもらうにはこの方法しか思い付かんかったんや…」
女の子として、安全な場所で生きて欲しいと思った。
優しくまっすぐな悠希に、会ったばかりだけど惹かれたのは事実で。
だけど、うまくは行かなかった。
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