サクラ咲ク


嘘じゃないこと。
真実が、誠だと定義するならば、

お母さんが私を捨てたことも、誠なのかな。


だってそれも、紛れもない真実だから。




お母さんに迷惑をかけずに、一人で生きていく方法。



そんなもの、ないと知っていた。最初から、ずっと。


人は、どう足掻いたって一人では生きていけないから。





「…答え、かぁ……」



呟いて、少し笑う。
考えなくたって、本当は知っていた。

答えなんて、解っていた。






私が、死ねばいい。







いなくなってしまえば、
誰にも迷惑はかからない。


単純明快な答。




「…ありがとう、ございました。」





いつも通り、道場に礼をして、私は道場を後にした。







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