サクラ咲ク


だから、関係ないんです。



そう言って笑えば、お梅さんは涙を浮かべた。




「ア…アホちゃうん!?」




涙を隠すようにそっぽを向いて叫ぶ。




「あんたみたいなお人よし、こんな世界じゃ生きていけへんで!?」



「そうかもしれません。」



「昨日あんな事したのにノコノコやって来て何もなかったみたいに…ほんまに…ッ…」



包丁を置いて、泣き出したお梅さんの背中をそっとさする。



「…アホアホ言わないで下さいよ。傷つきます。」



ケラケラ笑いながら言うと堪えきれないようにお梅さんは私を抱きしめた。





「堪忍な…」


「あはは!いいですよぉ~よくアホっていわれるし!」


「堪忍なぁ…」


「謝りすぎですよ~」


「ほんまに堪忍な…悪役にもなれへんかった…あんな事しといて、嫌われたくないなんて願ってしまった…」


「…悪役になんか、ならなくていいんです。」




ならなくて、いいの。

それが私への優しさなのは、ちゃんと分かってるけれど、





「私と、友達になって下さい、お梅さん。」








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