サクラ咲ク


「…ほんまに、変な子やね…。」



泣き顔が、笑顔に変わる。
まるで、夜が明け、陽がのぼったかのように。



「痛かったやろ…?無茶しすぎや…」



昨日、刀を掴んだ為、怪我をしてしまった私の手の平を優しく包む。



「後で包帯巻き直しであげる。切り傷によくきく薬、持ってんねん。」



そう言ってお梅さんは笑って、私を鍋の方へ押しやった。



「片手じゃ危なっかしくて見てられへんわ。胡瓜は私が切るから悠希はお味噌汁混ぜといて。」






“悠希はん”から“悠希”に呼び方が変わったのを聞いて、嬉しくなる。





「はいっ!!!」






――“私と、友達になって下さい。”






その赤い頬が、きっと答えだと思うの。










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