白猫
「なんで……謝るのよ…」

「……紫奈…俺が死んだら…俺のことは忘れてくれ」

硅が言った言葉に

紫奈は目を見開いた

「な…んで……そんな…こと」

「……もっと愛してやれなくて…一緒にいられなくて……ごめん」

硅は震えている紫奈を苦しそうに見ながら

ゆっくりと言葉をつむいだ

その目からは

光が少しずつ消えていた

「いやっ、私は硅さんの傍がいい……硅さんの傍じゃなきゃ…」

「………紫奈……俺は…お前のことを」

「いや!!」

紫奈は首を振り言葉の続きを聞くのを拒絶した

そして

硅の意識が闇に沈むのを引き止めるかのように

硅の手を強く握った

「……言わせてくれ…忘れろなんて……言っといて………こんな言葉は…酷かもしれないが………」
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