白猫
「黙れ、小娘が」

「っ………」

白猫がまとう空気に呀江は顔を青ざめ震え始めた

「小生を、あんな醜い外道どもと一緒にするでない」

「ぁ……うぁ……」

「…………」

呀江は白猫の絶対零度のような瞳に耐え切れなくなり

その場にずるずると座り込んだ

双樹は黙って白猫の斜め後ろへと移動した

「小生は、人にあらず……小生は都市伝説『白猫』なり」

「し…白猫……?」

「……今日は見逃すが、次はないと思うがよい…行くぞ、双樹」

「はい、白猫様」

白猫はいつものように薄く笑って踵を返した

双樹は、いまだに震えている呀江を一瞥してから

歩き出した

「ぁ……待っ…て」

呀江は白猫に手を伸ばそうとしたが

急に意識が朦朧とし始めたため、それは叶わなかった

呀江は意識が途切れる瞬間

白猫が呀江のほうを見て

嬉しそうにも、悲しそうにも見える顔で

「また会える日を楽しみにしておるぞ、呀江」

と言ったのが見えたような気がした
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