大好きなのに…。
プロローグ
「翔くんっ!」
「お!奈菜美♪また来たのか?偉いなあ」
「へへっ♪」
翔くんに会いたくて来たんだよ?
「ここは一応、図書館なんだから静かにしろよ?」
「了解!」
翔くんの言う事、ちゃんと聞くよ?
「ねえ知ってる?今井カケルの『街角探偵シリーズ』の第5刊が来月に発売されるんだよ☆」
「マジで?うわー楽しみだな、ソレ♪奈菜美、教えてくれてサンキュー」
「翔くんも今井カケルの小説好きでしょ?すぐ教えなきゃ!って思って♪」
「さっすが奈菜美!優しいな!」
翔くんにだけだよ?
「そういえば…―」
ねえ?翔くん。
あたし翔くんの事、
ずっとずっと好きだった。
絶対あたしの方が先に
出会っていたと思うのに…
なんでかな?
どうしてかな?
「今日は花菜子、家に居た?」
顔を赤らめながら、
聞かないで。やめて。
「仕事終わったら、行くから」
どうして翔くんは、
お姉ちゃんの彼氏なのかな