【歪童話】灰かぶり姉妹
「ほう……」

王子はそれを見て笑うと、いきなり玉座から飛び降り、その姫のもとに歩き出しました

城のホールはしん、と静まり、大臣の慌てた声だけが滑稽に響きました

しかし、王子が姫の目の前で立ち止まるとその声も消え、全ての人が二人に注目しました

「名乗ろう。私の名前は、ジョシュア・ダ・ルクセンブルグ。この手をとれ。踊ろう」

高飛車な姫は冷たい視線を王子に投げかけ、一瞬だけ、驚いたように眼を見開いたが、すぐにもとの気の強そうな表情に戻り、言った

「貴殿に名乗るのような名前はありませんわ。だけど、一回だけなら踊ってさしあげないこともないわよ」

そんな不躾とも言える答えにも王子は笑って流しました

そして、姫の手をとると、なんの前触れもなく踊りはじめました

楽団は慌てて音楽を奏で始めました
< 6 / 13 >

この作品をシェア

pagetop