Loveless≠Alone
山一つ分くらいある膨大な敷地を当てもなく、歩いていたら、人が疎らに見えて来た。その中に、一際目立つ男子生徒二人組を見つけて、嫌な汗が伝う。
「なぁなぁ!お前等も新入生か!?」
「へっ?」
「はぇ?!」
案の定、輝流はその二人のとこに突進して行った。
それを、若干離れたところから観察しながら、また信者が増えるなぁ、と溜め息を吐いた。
「あの子の面食いぶりには、呆れを通り越して、最早尊敬できそうなんだけど」
「姉さんのあれは、もうどうしようもないことだから諦めましょう」
空灯とげんなりしがら、目の前の二人を見る。タイプは違えど二人共、随分整った顔をしている。背の高い方はいかにもスポーツをやっています!みたいな雰囲気の笑顔が爽やかな男前だし、もう一人の背の低い子は、色素が薄く小動物の様な愛らしさのある美青年だ。
輝流と楽しそうに話す二人の反応を見るかぎり、輝流はまたもや、信者を増やしたらしい。黙ってそれを見ていたら、徐に輝流がこちらを振り返った。
「美月ー、空灯ー!ダチ紹介するからちょっと来いよ!」
命令するな、私達を巻き込むな、とか言いたいこと全部飲み込んで、黙って背を向けてここから逃げ出したい衝動にかられた私は、悪くないはずだ。