─§温もりの虜§─
洋輔はキョトンとした顔をしてあたしを見ていた


「あっ…ごめんちょっと疲れちゃったかなぁ……」


そう言ってあたしは洋輔の隣をスッとと通り過ぎて二階に上がった


ドアにもたれて亮が立っていた


「たっただいま…」


「おかえり」


亮の前を足早に通り過ぎる


様子のおかしい千紗に気が付いた亮が腕をとる


「どうした?」


「ちょっと疲れてるの…離して」


亮の顔も見ずに手を払いのけ部屋へ入ってしまった


「千紗…」


払われた手は宙を舞い行き場を失っていた
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