先生は旦那様

『お父さんの取引先の息子さんでね。お父さんが自殺を図ろうと工場で首吊ってるところを助けてくれたの。それで借金も肩代わりしてくれて…。』


『そんなの制約結婚と一緒じゃねぇか。』


『あたしも初めは嫌だったけどでも凄くいい人で。』


『そんなの勝手じゃねぇか。俺がどれだけ翼のこと…。俺だって肩代わりにだってなったさ。それなのに…。』


俺の思いが翼にはわかっていなかったと思うと無性に腹が立った。


『ごめんなさい。月人はあたしなんかより…。幸せになってね。じゃあ。』


翼はカクテルを一気に飲み席を離れた。


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