先生の天使
そこには綾香の写真があった。

《先生の彼女。髪ふわふわで美人。ライバルの私にも優しく接してくれるのは彼女の余裕だから?》

《こんな風になったら先生は私を好きになってくれるかな?》

《スタイルがいい。ダイエットしないと負けちゃう》

綾香は驚いた。
これがかをりの本心なんだろう。
しかしいつ写真を撮ったのか?

「最後のページをみてください」


言われて最終ページを開く。

《裕ちゃん先生の彼女が来た。私のことライバルだって。こんな迷惑ばかりかけてるのに優しかった。学校では誰も私に手を差し伸べなかったのに、彼女さんだけが優しくしてくれた。いつもと変わらないように。転校まで学校行く勇気ないけど彼女さんが分かってくれてる。裕ちゃん先生も分かってくれてる。私をいじめた人たちに笑顔でさよならって言ってやる。

そして……


裕ちゃん先生の彼女にはやっぱりこの人がふさわしい。》


矢印が書いてあって、一番下に綾香と裕二が食事している写真があった。

これは覚えている。
裕二と付き合うことになって食事に行ってかをりが乱入したときだ。



綾香は涙が止まらなかった。

「あの子…憧れてたんだと思います。斉木さんに。事故の前にダイエットするとかって食事減らしたり…これを見てそういうことかってわかりました。」

「このノートもらってやってくれませんか?」

綾香は驚いた。

「えっでも大事なノートなんじゃないですか?」

「ご迷惑でなければ…こうするのが一番だと思うんです」

かをりの母は涙を流しながら微笑んだ。
< 119 / 170 >

この作品をシェア

pagetop