先生の天使
「ちょっと待て俺の車で行くの?」

「えへへ。教習所のお金で金欠になっちゃって」

悪びれもなく笑う。

「車のキーは?」

裕二は心底不安だった。しかし綾香の運転も見たいと思ってしまったのでキーを渡した。

綾香は運転席に乗り込むと椅子を調整してミラーを確認。シートベルトをして
「さぁ、い…行くわよ」

車の中は緊張の包まれた。

「アクセルはゆっくりだぞ。」

「うん、大丈夫~」

と言った途端急発進する。

「うわ!」
「きゃあ!」

綾香は慌ててブレーキを踏む。

「ふ~危なかったね~」

えへへと笑う。

「綾香本当に免許取ったの?」

「うん。話しかけないで、今運転に集中してるの」

「ゆっくりだぞ」

裕二が手でゆっくり踏むしぐさをする。

「うん、行くよ」

今度はスムーズに進んだ。

「ほらね、私だって出来るのよ」
綾香は得意げだ。

その様子に裕二はプッと笑う。

「で、どこ行くの?」

「…どこかしら?」

「決めてないの?ちょ…Uターンして!」

「大丈夫だから~」

綾香の運転の車は進んでいく。
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