先生の天使
車は進んでいく。

「どこに行くの?」

「決めた。あそこにする」

ニコニコとしながら運転する綾香。
横で裕二はハラハラしていた。そしてどこに行くのかも…

「こ…高速は乗らないよな?」

「うん、高速は乗らない」

車は赤信号で停止した。
斜線は右折だ。

「綾香曲がるならウィンカーだして」

「あそっかぁ」

カッチカッチとウィンカーをつける。

裕二は言うと怒られそうだが降りたい気分だった。

「川…?」

「うん」

駐車場に車を入れようとするが上手くいかない。

「あれ?おかしいな。こっちにハンドル切ればいいのかな?」

「綾香、変わるから」

綾香は裕二をにらみつけて

「嫌よ!自分でやるの!」

と一喝して必死に車庫入れをする。

なんとか5分後に駐車した。

裕二はとなりの車に当たらないかとドキドキしていたので心底ホッとした。

「裕二君来て!」

綾香が慌てるように言う。
どうしたのかと慌てていって驚いた。

目の前には夜の色と夕方の色が混ざった見事な夕焼け。

太陽は大きく見えて金色に輝いてる。
そして……

「裕二君虹だよ」

綾香が上をさす。

そのあまりの綺麗さに涙が出てきた。

綾香は裕二を抱きしめた。

「いい所選んだでしょ?」

綾香の腕の中で小さくうなずいた。
< 127 / 170 >

この作品をシェア

pagetop