先生の天使
「あ、そうだ。会ってない間の写真見る?」

綾香が一眼レフを取り出す。

「うん、見せて」

プレビューで見て見ると、会社、教習所までの道すがら、そして裕二の家の前…

「…って綾香」

「ん?」

呑気に麦茶を飲んでいる綾香が返事する。

「うちの前に来てたの?」

「うん。でも時間なかったから玄関だけ。えへへ」

裕二は綾香が自分が気になって来たんだと思った。時間がないのにわざわざ来てたんだ。自分が落ち込んでる間に。

今のままじゃいけない。

裕二はそう思った。

でも外は怖い。生徒に会ったら…平沢のことを聞かれたら……
なんて答えていいのか分からない。

そしてまた、自分の言い方が悪くてもし、また生徒の誰かが自殺してしまったら…
自分は教師失格だ。

このままじゃいけないって思っても、どうしても悪い方に考えてしまう。

「?裕二君どうしたの?」

ふと綾香を見た。
綾香が自分のためにしてくれてる色々、免許取ったり仕事の後に家に寄ったり…疲れているだろうに。自分の前では笑顔を絶やさない。
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