先生の天使
「綾香の車の運転の先生してやる」

裕二の外へ出る口実にした。

綾香はパッと笑顔になって嬉しそうにうん。って答えた。

その笑顔をみて綾香に誘導されたことに気づく。
やられた~って思ったけど、いいやって思った。

「じゃあ平日は暗くて危ないから、週末な」

「うん」

その時、おやつよ~っていう母の声が聞こえた。

2人で居間に行く。

綾香は裕二の言葉が嬉しかった。
車だけど外へ出てくれるって言ったことが。

会ってないうちに随分と良くなったように思える。

お薬の効果だろうか?


「わ。チーズケーキ!」

居間に行ったら置いてあったケーキに嬉しそうにする。


「久しぶりだからケーキにしたわ」

にこにこと裕二母が言う。

「ありがとうございます。すっかりご無沙汰してしまってすいません」

綾香が言うと、裕二母はにこやかに言った。


「いいのよ。裕二のために免許まで取ってくれたのが嬉しいの」

裕二がむせて、綾香は真っ赤になる。


「ど…どうしてそれを…」

綾香が真っ赤になって聞き返す。

「年をとるとね、そのくらいなんて分かるわ」

にっこりと微笑んだ。

やっぱりこの人には勝てない。そう思った綾香と裕二だった。
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