先生の天使
家に着いたら父がちょっと。と呼ばれ、応接間に通された。

父と母は神妙な面持ちだ。
裕二は母が黒井のことを父に言ったのだとピンと来た。

「綾香のこと?」

裕二が切り出した。

「…ああ、そうだ。様子はどうだ?」

ため息としつつ答えた。

「家まで行ってる。もう綾香は怯えちゃって…」

両親は顔を見合わせた。
そして父が言った。


「警察に届けよう」

裕二は父がそう言うと思っていた。

「…うん。でも動いてくれるだろうか?」

「それはそうだが…何かあっては遅い」

裕二は父を見た。

「何かって?」

「連れて行こうとしてるんだろう?綾香ちゃんを。それはとても危険だ」


裕二は大きなため息をついた。

「行動をばらした以上はきっともっと大胆になってくる」

父は続ける。

「お前一人で守りきれるか?」


裕二は反論できなかった。
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