先生の天使
翌朝、裕二は時間通りに綾香の家の前に着いた。

インターフォンを鳴らす。

するとすぐに綾香が出てきた。
その表情はとても不安気だ。

綾香は小走りで車の助手席側に行って座った。

裕二もそれを確認して、辺りを見回した。

黒井の姿は見当たらない。それから車に乗った。



車を走らせながら裕二は短く言った。

「警察に行こう」

綾香はそう言われると自分が怖い状態なんだと再確認してしまった気分だ。

「で…でも…」

「とりあえず行って話して、パトロールとかしてもらおう」

「してくれるのかな？」

綾香は不安そうに聞いた。

「頼んでみよう」

「会社の帰りに行こう。まさか黒井も職場までは来ないだろうから」

そう言ったら会社に着いた。

「なるべく川口さんと一緒にいな」


「うん」

「終わりは５時？」

「…うん」

「じゃあその時間に来るから」

「……うん」

綾香は泣きそうだ。

「行ってきな」

裕二は送り出した。
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