先生の天使
「黙れ!」

知らないおじさんの怒鳴り声が聞こえる。

誰?黒井の知り合い?

恐怖が2倍になったのかと綾香は窓のところに立ち尽くす。

するとドアが乱暴に開けられ、黒井が綾香の背後に立ち首に腕を回した。

「うっ…」

苦しい。

どうなってるの?


その時入ってきた数人のおじさんが怒鳴った。

「これ以上罪を重ねるな!ここはもう包囲してあるんだぞ!彼女を放しなさい!」

首が絞まって苦しくてぼうっとしてきたが綾香は苦し紛れに言った。

「け…警察の人…?」

「そうだよ。斉木綾香さんだね?」

「は…」

はい。と返事をしようとするが黒井の腕はきつく絞める。

その時だった。

窓の外から大声が聞こえた。

「綾香!!!」

裕二だ。裕二が来てくれたんだ。

綾香の目から涙が出てきた。

「早く彼女を放すんだ。ここは8階だ。逃げ場はないぞ」

裕二君のところに行きたい。

早く安心したい。

綾香はそれだけ考えた。すると無意識に黒井の腕を噛んだ。

「うっ!」黒井は痛そうに腕を緩めた。

その刹那、綾香は裕二のものとへ行こうと窓から飛び降りた。
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