先生の天使
「あっ!!」

部屋にいた警察と外にいた裕二が声を上げた。

8階の窓から綾香が落ちていく。

裕二にはまるでスローモーションのように見えた。

裕二は落下する所まで走ったが間に合わない。

そう思った時だった。



『駄目!!!!』



声が響いて、綾香は地上に落下する瞬間に一瞬ふわりと浮いたように見えた。


裕二には声の主がすぐに分かった。

「平沢…?」

綾香は地面に横たわっているが怪我をしてるようには見えない…いや、してない。

裕二はかをりが助けてくれたんだと確信した。


「どうなっているんだ?」

周りで待機していた警察も仰天するばかりだ。

気を失ってる綾香を抱き上げた。

「綾香……」

裕二はホッとした。

良かった。無事で。本当に。

そしてハッとした。


「黒井は?」
< 155 / 170 >

この作品をシェア

pagetop