先生の天使
「わ〜探偵みたい〜」
と綾香は拍手する。
その様子に裕二はまたがっくりする。

「綾香…」


「私も行く!」

「へっ?」

綾香が聞き返す。

「平沢は帰りなさい」
裕二がビシッと言う。
「嫌!!」
「平沢!!」
裕二が怒る。

かをりは少し後退りしながら「裕ちゃん先生の馬鹿!!」と踵を返して道路を横断しようとする。


「あっ危ない!!」

綾香が叫ぶ。
かをりに向かって軽自動車が走ってくる。
綾香が飛び出す。
「綾香!!」
裕二も飛び出す。

綾香はかをりをかばって抱き抱える。
その2人を裕二が突き飛ばす。




「キキキキー!!!」

車の急ブレーキが響き渡る。


ドカッと言う音が聞こえ、裕二が接触して道路に倒れる。



「裕二君!!」


慌てて綾香が駆け寄る。


「だ…大丈夫…痛…」
「どこが痛い?」
「足…」

見ると左足が血だらけだ。

軽自動車の運転手も降りてきた。
「大丈夫ですかっ?」

「救急車を呼んでくださいっ」


かをりは座り込んで動けない。


救急車が到着し、裕二が運ばれる。綾香は一緒に乗り込む。



残されたかをりはガクガク震えながら携帯で電話をかける。


「お母さん?私…私どうしよう…裕ちゃん先生が…」
< 19 / 170 >

この作品をシェア

pagetop