先生の天使
綾香はなんとかせねば!と思った。
これじゃかをりちゃんも裕二もずっと一生もやもやする。
「かをりちゃんちの住所教えて?」
「何すんの?」
「かをりちゃんと話す!このまま転校なんて絶対駄目!」
裕二は良い顔をしなかったが綾香の気迫に押されて住所を教えてくれた。

「ピンポン」
呼び鈴をならす。
綾香は仕事を休んでかをりの家に行った。
普通のこじんまりした一軒家。
応答を待ってると近所のおばさんがよって来た。

「この家に用なの?」
「?はい」
するとおばさんは凄い勢いで話して来た。

「ここのお嬢さんね、先生に入れこんだ挙げ句、先生を事故で死にかけさせたらしいわよ。まったく中学生で先生に入れ込むなんてどういう教育を受けてるのかしらね?」
綾香はびっくいしつつ話を聞く。
「その先生にはね、彼女がいたんですって!それも散々邪魔していたらしいわよ。で、事故でしょ?引っ越すって言っても教育しなおさないと治らないわよねぇ。問題をまた起こす前に早く引っ越してほしいわよね。」
と満足気に話すおばさんに綾香は腹が立った。

「あの、事故は不可抗力で誰も悪くないんですよ。かをりちゃんはちゃんと教育されてるし、彼女の邪魔なんてしてないですよ」

きっぱり言った。
おばさんは少したじろぐ。
「あ…あらそうなの?」
というおばさんに力強く「はい」と答えた。
おばさんはばつが悪いように去って行った。

こんな状況になってるなんて…
噂の怖さを改めて知った。

「はい」
お母さんの声で応答があった。
「あの、かをりちゃん、いらっしゃいますか?斉木と申します」

家の中に通された。
綾香に顔を見て母親が気付く。
「上屋裕二先生の…」
ペコリと頭をさげる。
「かをりは部屋に閉じこもってまして…話しをできるかは…」
「いいです。一方的に話します。」
綾香はかをりの部屋の前に通される。
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