先生の天使
確かに川口の言う事はもっともだ。
自分以外が駄目って泣いて訴えたこともあったんだから。

「お前は遊び人だから無理だって言ったんだって」
「はぁ?」

川口の言葉に驚く。
「黒井が言ったんですか?」
「うん」
友達だと思っていたのに…影ではそんな風に思ってたなんて……
「友達である黒井ってのに言われたら綾香ちゃんが不安になるの分るだろ?分ってやれよ。」
だんだん黒井に対して怒りがこみ上げてくる。

「ちょ…黒井呼び出してもいいですか?」

川口はしばらく考え込んだがいいよ。と言った。
裕二は黒井に電話する。

「ちょっと出れるか?」

近所の公園を指定して裕二達もそこへ向う。

15分くらいすると黒井は何事もなかったかのようにやってきた。

「どうした?急用か?」
裕二は黒井のえりを掴む。

「てめぇ、綾香に何言ってんだよ!全部嘘じゃねーか!!」
怒りを隠しきれない裕二に黒井も一瞬ひるんだが裕二の手を乱暴に取った。

「本当の事じゃねーか!俺は可哀想だから言ってやったんだよ!」
「綾香は別れたいなんて言ってねーだろ!?」
言いながら黒井の頬を殴る。黒井は地面に叩き付けられた。
「綾香は渡さねーよ!」
また殴ろうとする裕二を川口が止める。

「あんたさ、黒井君?1番卑怯なやり方だよ。そんなことしても裕二と綾香ちゃんは別れないし、綾香ちゃんがあんたの所に行く事もないぜ?頭冷やせよ。」

「友達だと思ってたのに…!!」
裕二は悔しさをにじませる。
「二度と俺の前にあらわれるな!!」

黒井はひるまない。
「お前のような遊び人より俺の方がいいに決まってる!」
「何だと!?」
つかみかかった裕二を川口が離す。そして言った。
「二度と綾香ちゃんに近づくな!」
そう言って後ろポケットに入っていた携帯を取り上げ、綾香の番号を消した。
「何しやがる!」
裕二に捕まえられた黒井は叫ぶ。
ポイと携帯を返し、「行け」と川口が言うと黒井は悔しそうに走り去った。
< 48 / 170 >

この作品をシェア

pagetop