先生の天使
「おっ綾香今回はいいな!」

写真を落としたパソコンを見て裕二が言う。

「ほんと?」

綾香も嬉しそうに覗き込む。

「これはプリントしてやるから持って帰りな?」


「うん」

プリントしてもらった象の写真を手に綾香はご機嫌だ。

良かった。この前写真見てる時にかをりの手紙が来たから実はちょっと不安だったんだ。




その時ドアをノックし、母が顔を出す。

「綾香ちゃん、ケーキいっぱい買ったの。どれがいいか選んでくれる~?」

「あ、はい、裕二君ちょっと行ってくるね。」

「うん」

裕二は自分の写真を見ながら返事をする。



台所に行くと裕二の父と母がいた。

「?」

不思議に思いながら台所に入ると思いもかけないことを告げられた。

「寝てないんですか?」

いくつかのケーキを見ながら母はため息をついた。

「表向きは元気になったんだけど、あれからあまり寝れてないみたいでね。何時になっても電気がつきっぱなしで…」

綾香は驚いた。てっきり立ち直ってくれてるとばかり…

「私も寝れないのかと聞いたんだがね、大丈夫しか言わんのだよ」

父もため息をついた。

「綾香ちゃんには何か言ってるかと思って」

綾香も何も聞いてない。
だってあんなに普通に話しだって出来るようになったから…

「すいません、私も何も聞いてないです…」

「そう…」

3人は同時にため息をついた。
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