ピュバティ ブルー


松井は朝美がいつか言っていたことを思いだした。




―――――「川村さんはね、病院から私を出してくれた人なの。まだ大学でて会社に入ったばかりなのに、私が一緒にいます。お母さんにはなれないけど、ずっとずっと一緒にいます!って」


朝美は本当に嬉しそうに言っていた。あのときの俺は気づく余裕などなかったが


きっと川村さんは龍太郎に逢ったときから魅かれてたんだ。いや、ちがうな、龍太郎に関係なく朝美を育てたろうな。彼女はそういう人だ―――――





松井は自然に微笑んでいた。



「あーっ、川村さんのこと考えてるっ!!」



葵がまた松井をたたいた。

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