ピュバティ ブルー
「じゃあ川村さんは来年から私たちのお母さんね」
葵がそう言って松井と顔を見合わせた。
「ちょっと待ってください。私はまだ34ですっ」
百合絵が、わざと憤慨して見せた。
「えーっ俺と8つしか違わない?!お義父さんいくつでしたっけ」
「う、うるさいっ!そ、それより本当に本格的に、絵の勉強をする気はないのか?朝美の肖像画の個展も大成功だったし。いくらでも力になるぞ」
二階堂があわてて話題を変えた。
「お義父さん、本当にありがとうございます。でも俺は聖華の教師を続けます。なにしろ目が離せない生徒がいますからね」
松井はかたわらの葵を横目でちらっと見た。
「目を離したくない生徒でしょ。そうだフライデーにもお嫁さんもらってあげないとね!」
葵はぺろっと舌を出して、テーブルの下で食事しているフライデーに向かって言った。
ステーキソースで口を汚した彼は「ワンッ!!」と元気に吠えた。