ピュバティ ブルー
「とにかく二階堂氏の後を継ぐ血縁者は、もう皆川君しかいないのですよ。我々は一日も早く皆川君がブルジョアの仲間入りをするのを、手助けしなければなりません。」
校長は力強く言った。
「皆川一人のために聖華学園が犠牲になる訳ですか。他の生徒のことは?」
松井は校長に詰め寄った。
「それは違いますよ。聖華の繁栄のために皆川君を育てていくのです。将来皆川君が社交界で華やかに振舞えば振舞うほど、常に聖華の名前がついてまわるわけですからね。松井君、君だってお目付け役としてパリから呼びもどされたんでしょう?」
校長は元の笑顔で言った。
「それもそうですね。まあ努力しましょうか」
松井は両手を組んで言った。
二人は黙って残りのコーヒーをすすった。